2011年04月11日

21st Keynote 110411 OAリスト(UKのSSW特集)

今日で、東日本大震災からちょうど一ヶ月が経ちました。未だに大きな余震が続いたり、原発問題も長期戦の様相を呈しておりますが、それぞれがそれぞれ精一杯出来ることを全うしながら、強い一歩を踏み出して行きましょう。僕たちは、精一杯Nice Musicを紹介し続けます。



さて、最近、蒲野がよく利用する通販のCDショップが、熱く「UKのシンガーソングライター(SSW)」を紹介してきます。で、またそれが良いものだから、ついつい買いすぎて、いつも懐具合がピーピー言っているわけです。



が、それを番組に使えばこそ甲斐があるというもので、今月は勝手ながらUK SSW(フォーク・ロック)特集を致します(笑)。



ちなみにショップの名前は番組の中では敢えて申し上げておりません。関東のとあるショップとだけ申し上げておきましょう。色々理由はありますが、好漁場はご自分で探すことが「中古レコード道」の醍醐味ですから。



まずはUKフォーク・ロックを語る上ではどうしても避けて通れないこのバンドからスタート致しましょう。イギリスのトラッド音楽とエレクトリックを融合したバンドの先駆けとして有名なフェアポート・コンベンション、LAの名門ライブハウス「トルバドール」で収録されたアルバム「House Full」からトス・ザ・フェザースです。



Fairporthousefull
M:Toss The Feathers / Fairport Convention



白熱のライブ演奏ですが、「フィドル」の音がなんともイギリスっぽいですね。このフェアポート・コンベンションも、元々はアメリカのカントリー志向が強いバンドでしたが、そこに三作目から、神々しいまでに厳粛でクリアな声の持ち主であるサンディ・デニーという女性トラッド歌手を迎えてから、こうしたトラッド志向のバンドに変わりました。ただ、サンディ・デニーは短い期間在籍しただけでバンドを離れます。



彼女がいなくなって、あまりの彼女の大きさに後釜をさがすのを諦め、開き直ってハジけた演奏をしていた頃のライブ演奏で、皮肉なことに、ここからさらにフェアポート・コンベンションは新しいステージに入っていくのでした。



さて、イギリスという国は意外とややこしい国です。正式には「グレートブリテン アンド 北アイルランド連合王国」といいまして、イングランド、ウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドという4つの国が集まってできています。Englishというのはもちろんロンドンを中心とした「イングランド人」の事であって、ウェールズやスコットランドの人に「イングリッシュ」っていうのは大変失礼なことになるらしいですから気をつけましょう。



予習はこの辺にして、次にはスコットランド地方のミュージシャンをご紹介します。



まずは、87年に全英No.1ヒットとなる「Perfect」という曲で有名なフェアグラウンド・アトラクション。まずは、そのボーカリスト、エディ・リーダーの2007年のソロアルバム「ピースタイム」から「マディウォーター」をお送りしましょう。



Eddireaderpeacetime
M:Muddy Water / Eddi Reader



エディ・リーダーは、スコットランド地方の中核市・グラスゴー出身です。フェアグラウンド・アトラクションで大成功を収めますが、それがもたらしたものは彼女の望んでいたものではなかったらしく、1枚だけのアルバムを残して突然、解散してしまいます。



以後数枚のソロアルバムを出しますが、スコットランドの詩人で、卒業式の定番曲「蛍の光」を発掘したことで有名なロバート・バーンズへのトリビュートアルバムを制作して以来、自身のルーツであるケルト音楽に根ざした作品を作るようになりました。エディ・リーダーのクリアな声と静謐なギターサウンド、そして物悲しいホィッスルの音が心にしみますね。



そしてもう一曲は、スコットランドの夫婦デュオ「John & Beverly Martyn」のサードアルバム「Stormbringer!」から、「Go Out And Get It」でした。



Jandbmartynstormbringer
M:Go Out And Get It / John And Bevery Martyn



一聴して判るように、このアルバムには「スコットランド」のテイストが薄く、むしろアメリカ的な音です。彼らは、スコットランドのルーツを目指すよりはアメリカのルーツを志向しており、このアルバムについてはニューヨークのウッドストックでレコーディングされました。ドラムにはThe Bandのリヴォン・ヘルムが参加しているほか、曲によってはジョン・サイモンがハープシコードを弾いております。



とは言いながら、ギターの弾き方とかコーラスの入れ方に仄かなイギリスっぽさが残っていて、アメリカナイズが完成されていないところにこのアルバムの魅力があるのではないでしょうか?



では、今度は再びイングランド代表ですが、その前に、60年代から70年代のイギリスの音楽事情を説明しておきましょう。



イギリスのミュージシャンには多かれ少なかれアメリカに対する憧れがありますが、スコットランド地方では、Bob Dylanなどフォークミュージックに惹かれ、更に自分たちのルーツであるケルト音楽に繋がっていきます。一方でロンドンを中心としたイングランド地方は外へ外へと興味が向いていきます。その現れが「モッズ」というムーブメントです。



モッズ野郎達にとって大事なことは「クール(カッコイイ)」こと。だから、三つボタンのスーツをビシッと決めて(ミリタリージャケットという流れもあり)、ゴテゴテと飾り立てたVespaで街を闊歩しました。その文化の音楽的興味はJazz・R&B・Soulなどなど・・・



そのモッズ文化の中心地・ロンドンのフラミンゴクラブで、ハモンドB3をブリブリ言わせながら熱狂的なステージを繰り広げていたのが、今からご紹介するジョージィ・フェイムです。では、彼の初期の演奏を集めたコンピレーション盤「20 Beat Classic」から、James Brownのナンバー「Papa's Got A Brand New Bag」をお送りしましょう。



Georgiefame20beatclassics
M:Papa's Got A Brand New Bag / Georgie Fame



さて、アメリカへアメリカへ・・・と、憧れを深めていったイングランドのミュージシャンたちですが、ジャズやR&Bへの傾倒もさることながら、アメリカ南部のスワンプに憧れて言った人達も多いのはこれまでなんども紹介してきました。その代表がエリック・クラプトンやロッド・スチュワートです。



パート1最後は、例のショップ曰く「UKとスワンプの完璧な融合」と言い切る、アンディ・ロバーツ、73年リリースのアルバム、「Andy Roberts & The Great Stampede」からご紹介しましょう。そのアナログ盤は権利の関係で1500枚くらいしか出なかったという幻の一枚らしいのですが、一体、だれが、そんなレアモノを聞いてたんでしょうね?恐るべし音楽マニア。



Andyrobertsandthegreatstampede
M:High Time / Andy Roberts And The Great Stampede



全くアメリカンなサウンドでしたが、ブレイクのところで、イーグルスの「駆け足の人生(Life In The Fast Lane)」のイントロが出てきたのには笑ってしまいました。「いくらアメリカへの憧れがあるからって、これはずいぶんアカラサマなパクリだな〜」・・・って、思いきや、このアルバムは1973年リリース、そしてイーグルスのLife In The Fast Laneが収録されたHotel Californiaは1976年リリース。ということは、イーグルスのほうがパクッちゃったって事になりますよね。



確かめたわけじゃありませんから、事の真偽はわかりませんが「偶然似ちゃいました (^_^;) 」というレベルではなく、興味深いことです。まぁイーグルスからパクられたら本望でしょうね?アンディさんも・・・



☆Part2☆



パート1の冒頭でおかけした「フェアポート・コンベンション」っていうのはイギリスのフォークロックを語る上では、本当に重要なバンドだったというのは、この特集をやって、しみじみ感じているところです。そして、このパート2では、そのフェアポート・コンベンションの初代ボーカリストの一人、「イアン・マシューズ」を取り上げます。



もともと、フェアポート・コンベンションにはジュディ・ダイブルとイアン・マシューズという二人のボーカルを擁していましたが、まず、ジュディ・ダイブルが抜けて、サンディ・デニーというトラッド歌手を迎えてから劇的に音が変わったという話を致しました。そしてその後、イアン・マシューズもフェアポート・コンベンションを去ることになります。彼もまた、トラッドよりも「アメリカ音楽」へのあこがれの方が強い人だったのです。



脱退後は「マシューズ・サザン・コンフォート」というカントリー色の強いバンドを組んだり、さっきのアンディ・ロバーツさんと「プレインソング」というバンドを組んだりしています。特に、マシューズ・サザン・コンフォートでは、ジョニ・ミッチェル作で、CSN&Yで有名な「Woodstock」を、アメリカとは又違う、ドリーミーなアプローチでカバーして、全英No.1ヒットさせました。



ところで、ここで持ってきたのが、アメリカSSWの草分けと言われる「ジェームス・テイラー」のファーストアルバムです。このアルバムは、実はイギリス録音、それも、あのアップルレーベルがビートルズ以外に契約した初めてのミュージシャンとして大々的に打ち出された曰くつきの作品です。



イアン・マシューズは・・・といいますと、先ほど出たように、Joni MitchellのWoodstockをカバーするなど、センスのいい曲を選ぶことで有名な人です。そして、マシューズ・サザンコンフォートの「セカンドスプリング」というアルバムでは、ジェームス・テイラーのファーストに収められた「Something In The Way She Moves」をカバーしているということで、それを聴き比べてみましょう。



JamestaylorMatthewssoutherncomfortsecondspring
M:Something In The Way She Moves / James Taylor
M:Something In The Way She Moves / Matthews Southern Comfort



イギリス人がプロデュースしたアメリカのSSWの曲を、アメリカに憧れるイギリス人がカバーするとどうなるか・・・なかなか興味深い聴き比べだったかと思いますが、わざと位相を逆にしたような、実験的でちょっと耳障りな位の音作りがイギリス・・・というより「アップルだなぁ」という感じのジェームス・テイラーと、オーソドックスなアプローチでありながら、サビの美しい味付けはいかにもアメリカンな感じのイアン・マシューズ。



これは、「アメリカ人でない者がアメリカを目指そう」という訳で、より「アメリカらしく見せるための方法」っていうのが見えやすいという事なのではないでしょうか?



☆Part3☆



今回は、ちょっとUKでリキを入れすぎましたので、パート3ではテーマから離れて「まるっきりアメリカン」な新譜のご紹介を致します。



今月もちょっとジャズ絡みですが、カントリーの大御所「ウィリー・ネルソン」がジャズトランペッターのウィントン・マルサリス、同じくジャズの歌姫、ノラ・ジョーンズと組んでR&Bの帝王レイ・チャールズに捧げたライブアルバム「Here Go Again 〜 Live In NY」です。



ウィリー・ネルソンもノラ・ジョーンズも、それぞれカントリーやジャズといった保守的なジャンルの出身でありながら、ロック・ポップスやらヒップポップやら・・・との他流試合は数知れない人たちだし、トランペットのウィントン・マルサリスにしてもジャズとクラシックの融合で大きな成果を上げてきた人です。



またウィリー・ネルソン 〜 ウィントン・マルサリス 〜 ノラ・ジョーンズといえば、もう、おじいちゃん・お父さん・孫娘・・・位の世代間ギャップがあるわけで、それらがNYのリンカーンセンターに一同に集まってライブしてしまうという、アメリカのミュージシャンのそれぞれのキャパシティの広さっては半端じゃないなと感じざるを得ません。



ここでは、ゆったりした雰囲気が心地良いタイトルナンバー「Here We Go Again」をお送りしました。



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M: Here We Go Again / Willie Nelson・Norah Jpnes・Wynton Marsalis



次回は年5月9日月曜日、夜9時から、今月のUKのSSW特集を引き継いで「アイルランドのSSW」をご紹介します。お楽しみに!
posted by FM香川 at 15:38| Comment(0) | 蒲野 誠一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする