2012年02月13日

21st Keynote120213OAリスト(ベテランたちの新譜情報)

最初に申し上げますが、この番組は録音番組ですので、日本時間の今朝行われた第54回グラミー賞の結果については一切、反映されておりません。また、5日、報道のあったホイットニー・ヒューストンさんの死去に関しても触れておりません。この二点、どうぞ予めご了承願います。



さて、今日の特集は「ベテランたちの新譜情報」です。先月の「新譜紹介」とは違って、今後の新譜情報であり、音源はないものばかりですので、こちらも予めご了承願います。



アメリカンロック界で、今、一番ホットに動いているのがブルース・スプリングスティーン。昨年夏に、彼のバンドである「E Street Band」のサックス奏者で、彼のステージを40年に亘ってエキサイティングに盛り上げてきたクラレンス・クレモンズを亡くして、ちょっと意気消沈か?と思われたんですが、1月19日のRolling Stone誌FB版に「Bruce Springsteen returns with Wild New Album」というニュースが飛び込みました。



このアルバムは、昨年ウォール・ストリートで起きたアメリカの経済政策に対する大規模なデモにインスパイアを受けて制作されており、「これまでの作品中でも最も「怒り」を感じるアルバム」になっているとのこと。ファーストシングル「We Take Care Of Own」も、「自分たちは、自分で守らなきゃ」というメッセージですが、その解釈をめぐってかなり論争も巻き起こっています。



タイトルは「Wrecking The Ball」、本国では3月6日のリリース、豪華ブックレット仕様の日本盤スペシャル・エディションはボーナストラック二曲入りで3月24日リリースです。また、本国では先行シングル「We Take Care Of Own」が発売されておりますが、彼の公式サイトで、ストリーミングにて視聴が可能です。もちろん、音源は間に合っておりませんので、彼の代表作の一つをどうぞ。



Brucespringsteen


M:Born To Run / Bruce Springsteen



では変わってスライド・ギターの女王、ボニー・レイットさん。ここ数年ぱったりと音沙汰がありませんでした。その間に、女性スライド・ギターといえば演奏スタイルもボーカルもボニーそっくりなスーザン・テデスキさんが登場し、、そろそろ女王の座も交代か?と思っていたら、今年に入ってすぐ、「4月10日、7年ぶりのアルバム「Slipstream」をリリースし、それに続く大規模なツアーをする」という発表がありました。



ボニーは、プライベート面で、パートナーや兄弟・友人の死去があって、ここ数年は表立った音楽活動からは遠ざかっていました。しかし、最近、若い世代の間で、ボニー・レイットの音楽に対する注目度が上がっているのを受けて動き出したという一面もあるようです。



例えば、最近注目のアデルも、昨年の末のライブアルバムで、アルバムLuck Of The Drawから「I Can't Make You Love Me」を取り上げていますし、今年のグラミー賞で優秀新人賞の噂も高い、Bon Iverのジャスティン・バーノンは、TV番組「Late Night With Jimmy Fallon」で、アルバム「Nick Of Time」の楽曲のメドレーを披露して拍手喝采をうけました。



彼女の公式サイトではジャケット写真や、彼女の少しハスキーで熱いボーカルもそのままの、レゲェ・ロックのファーストシングルがアップされております。お送りする曲は、ボニー・レイットのグラミー賞作品である「Luck Of The Draw」からです。



Bonnieraitt


M:Not The Only One / Bonnie Raitt 



実は4月は、Keynote的ベテランたちのリリースラッシュです。その中では、ボニー・レイットさんの様に「若いミュージシャンたちがベテランたちをリスペクトして、その遺産を引き継ごう」という動きも見逃せません。



先月も「アンタイレーベル」をご紹介しましたが、もう一つ面白いのが「ノンサッチ・レコード」というワーナー系のレーベルです。1964年に発足している古いレーベルですが、今は、ワーナーミュージックグループの再編にともなってはじき出されたミュージシャンの受け皿となっております。



そこにいるアーティストは、例えばライ・クーダーとかジョニ・ミッチェルとかランディ・ニューマンといったベテランも居るかと思えば、オルタナ系の中堅ウィルコや、今ブレイク中のThe Black Keysという若手も同居しています。当然、ここでもそんなベテランと若手の融合があるのですが、そんな中でノンサッチ・レコードから1月の半ばにリリースされたニュースが、ニュー・オリンズの怪人、Dr.Johnのニューアルバムの件。



これをプロデュースしたのが、今、アメリカで人気ナンバー1バンド、The Black KeysのVoでギタリストのダン・オーバックという男です。The Black Keysは2001年結成の二人組ロックバンドなんですが、2010年リリースのアルバム「Brothers」が全米チャート初登場3位となりまして、100万枚以上の売上で本格的なブレイクとなりました。



昨年末にリリースした新作「エル・カミノ」も好評で、ファーストシングル、The Lonely Boyは、オールドファンでさえ「カッコイイ」という大ヒットとなっておりますね。特に、ダン・オーバック自身がDr.Johnの大ファンで、彼は、2010年の暮れにDr.Johnを訪ねて、「あなたが長い間作ってきた作品の中でもベストなものを作りたい」と、熱心に口説いたんだそうです。



この時Dr.Johnは、自分の子供たちの賛成を受けて、この申し入れを受けました。この直談判のあと、去年の2011年のボナルー・ジャム(テネシー州で毎年行われる野外ロックフェス)でオーバックの仕切りによるDr.Johnとのライブが実現して、さらに今度のアルバムへと続いていきます。



アルバムの収録に向けてオーバックは、若手ミュージシャンを厳選して臨んだということで、このコラボレーションについてDr.Johnは「あれは、本当にHIPだったよ」と語っていますし、オーバック自身も「Dr.Johnはスタジオに居る一日毎に、音楽的にも精神的にもインスパイアを与えてくれた。僕はこんな機会に恵まれて、本当に光栄だ」と語っているそうです。プロデュースする方もされる方もリスペクトしまくりで、これならいいものが出来るのは疑いの余地なしです



The Black Keyのダン・オーバックプロデュースによるDr.Johnのニューアルバム、「Locked Down」は、4月3日のリリースです。今日は、台風カトリーナで大被害を受けたDr.Johnの故郷・ニューオリンズの復興がうまく進んでいない事への現状を憂いた作品「The City That care Forgotten(08)」から、エリック・クラプトンをフィーチャーしたこの曲をどうぞ。



Drjohn


M:Time For A Change / Dr.John



変わって、結構早くから話題になっていたのが、今年、結成50周年ということで、4月にリユニオン〜ツアーを行うBeach Boysです。



彼らの場合、メンバーが何人かはもう亡くなっていますし、特にブライアン・ウィルソンとマイク・ラブの対立や、駆け引きなどを考えると「本当に大丈夫か?」と疑ってしまう向きも多く、Face bookの書き込みでは「カネ目当て」とか書かれたりしていましたけど、2000年以降はメンバー同士も少しずつ和解していますし、他ならぬブライアン自身が、「マイク・ラブとの共演も楽しみにしている」というメッセージも出していますから、あとは、実際に出てきた音で判断したいな、と思います。



brianwilson.com/にアクセスすると、新曲のレコーディング風景を1分程度の短い動画が見られるようになっておりますが、案外これが昔の味をしっかり保った、いい雰囲気です。メンバーの顔も、みんな和やかだし、これはきっと良いものになる気がします。



それでは今度はビーチボーイズのヒット曲をお聞きください。



Beachboys


M:Good Vibrations / The Beach Boys 



ベテランたちのニューリリース情報、最後は、ニール・ヤングさんです。



ニール・ヤングさんは気まぐれで有名で、発表していたアルバムをお蔵入りさせることは珍しくありません。また、有名なバックバンド「クレイジー・ホース」というグループがあり、彼らと沢山の名盤を作っておりますが、2000年に「Toast」というアルバムもお蔵入りにしてからは、フルメンバーを使わなかったり、ツアーの途中でメンバーを変えたり・・・と、どうも、その関係が微妙になってしまいました。



ところが、1月にユタ州のパーク・シティの映画祭で行われたイベントに登場したニール・ヤングがいきなり、「クレイジー・ホースとやる」と言ったんだそうです。その瞬間、観客からは拍手喝采が起きたということです。そして驚いたことに「もう既にレコーディングは済ませて、もう一枚も仕上げの作業に入っている」・・・って言ったんです



しかし、いくら何でもイチからアルバムを二枚も作るわけないので、もう一枚っていうのが、さっき言った、オクラ入りのToastじゃないか?って言われおります。



ただファンも心得たもので、半信半疑だったわけですけど、それから程なくして公式サイトにクレイジー・ホースと、今年に入ってから収録したっているジャム・セッションのビデオが上がったことで、俄然、信ぴょう性が高くなり、色々と盛り上がり始めております。



このビデオ、40分もある大作で、演奏そのものもカッコイイのですが、すごく謎めいております。画像は無人のスタジオの中をカメラが隅々まで舐め回すように写しているだけで、実際に彼らが演奏しているところは出て来ません。



最初は、ミキシング卓のアナログメーターとかフェーダーのつまみとか、アンプとかエフェクタとかが映し出されて、臨場感ありあり、オーディオ好きな人にはたまらない感じです。そして、演奏が進んでいくとブースの方に入っていって、古いビンテージギターやら、何やら無造作においた楽譜とかが写り込んできてきます。このあたりが、その意図を探ろうと、マニアの間でく盛り上がっている訳です。



ではニール・ヤングさんの曲は、「Ragged Glory」から・・・



Neilyoung


M:F*!#in Up / Neil Young



***Part-2***



パート1ではビーチボーイズ、結成50周年とお話ししましたが、海を渡ったイギリスでも、ビートルズがメジャーデビュー50周年を迎えております。




それで、ボール・マッカートニーが新しいアルバムを2月に発売するというニュースは、もう昨年の12月末には流れておりまして、それが先週の2月8日、予定通りリリースされました。8日の朝刊で、デカデカと広告が載っていたのはご覧になりましたか?



タイトルは「Kiss On The Bottom」で、これがまた物議を醸しました。というのも、Bottomは英語で「ゲイ」とか「おかま」とかをもっと下品な言い方にした俗語でもあり、「爵位も持っているマッカートニーがなんというタイトルをつけるんだ?」と。特に、イギリスの音楽雑誌NMEではそのニュースが出るやいなや、「史上最もダメダメなタイトル。マジでありえない」とバッサリ。



結局、タイトルは間違いなかったんですけど、ポール自身がタイトルの真意を説明しなくてはならない事態になりました。



このアルバムはポールの作曲家としてのルーツとなった、アメリカの偉大なソングライターの作品をカバーしたソングブックで、ファッツ・ウォーラーという人の「手紙でも書こう」という曲の一節から取ったのがこのタイトルだと、ポールは説明しています。



英語の文章の最後に「X」が書かれたのを見た事あるかと思いますが、これは「キスマーク」の代わりなのだそうです。つまり、Kiss On The Bottomとは、純粋に「文末のキスマーク」ということで、アルバムジャケットにも、花束を持ったポールの写真にサインが書かれて、その後にXが3つほど書かれてます。



このアルバムは、彼が子供の頃に聴き馴染んだ「Tim Pam Alley」の楽曲カバー集です。ゲストにはエリック・クラプトンとスティービー・ワンダーが迎えられ、2曲の新曲も含まれております。また、今回は長いキャリアの中でも初めて、ポールがボーカルのみの録音となり、バックはジャズの美人ピアニスト、ダイアナ・クラール。プロデューサーは、あのAOR男、Tommy LiPumaです。



評価としては、アメリカでは比較的好評ですが、イギリスでは「懐古主義・激甘」と厳し目のようです。そのあたりはご自身の耳でお確かめください。お送りしたのは、ニューアルバムKisses On The Bottomから、エリック・クラプトンが参加している楽曲です。



Paulmaccartney


M: My Valentine / Paul McCartney



この曲、アメリカンソングブックで、ジャズのダイアナ・クラールが参加しているからといって、フランク・シナトラで有名な「My Funny Valentine」ではありません。全くのポールのオリジナル新曲です・・・念のため。



ちなみに、一人の「生けるビートルズ」、リンゴ・スターも同時期、アルバムとツアーを発表しています。こちらは「リンゴ・2012」という、無難なタイトルになっています。こちらも彼の広い交友を反映して、レコーディングはLAにて。ゲスト・ミュージシャンとしてジョー・ウォルシュ(イーグルス)、ドン・ウォズ、ヴァン・ダイク・パークス、エドガー・ウィンターなど、お馴染の顔ぶれが参加しております。




***Part-3***



今日のパート3はテーマから離れて、少し面白いCDをご紹介しましょう。



Chris Stills(クリス・スティルス)という名前で、なにか思い出しませんか?そう。クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのスティルスさん・・・スティーブン・スティルスの息子です。



実はFM香川はいま、CD室の棚卸をしていて、一枚一枚、どんなCDがあるか確かめているわけですが、その中で見つけたのが、クリス・スティルス、98年のデビューアルバム「100 Years Thing」です。もちろん日本盤で、「百年もの」という、身も蓋もない邦題がついております。



スティーブン・スティルスさんの息子さんがデビューしているという話は殆ど聞いたことがなく、半信半疑で聴いておどろきました。これは現代版Stephen Stillsです。



声がそっくりなのは当然としても、サウンドが完全に70年代の音。でもスピード感や切れ味はやはり父親より現代っぽくなってます。ライナーも読んでみると、プロデューサーはイーサン・ジョンズ・・・こちらも大プロデューサー、グリン・ジョンズの息子ですよ、すべてが納得が行きますね。



あまり日本では話題にならなかった様ですが、本国の音楽サイトAllmusicでは四つ星。Stephen Stillsが現代的な音を身につけて若返ったと思えば、拍手喝采ですね。



では、このアルバムの中で僕が一番気に入った2曲の中で、さらにお気に入りの「Razorblades」という曲をおかけしましょうか。



Chrisstills


M: Razorblade / Chris Stills





21st Keynote、次回は3月12日・月曜日、夜9時から。3月の雛祭りにちなんで、「女性を歌った曲」特集をお送りしましょう。可愛い女性から「がいな」女性まで、いろいろ揃えてお送りしますよ。お楽しみに。

posted by FM香川 at 20:50| Comment(0) | 蒲野 誠一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする